沼に立ち寄った旅鳥、アオアシシギ
シベリア方面で夏を過ごして南の国に帰る途中のアオアシシギ(英名;Greenshank、体長32p)の群れがが観察フィールドの沼に立ち寄ってくれました。アオアシシギは江戸の頃はカネシギとかカシワシギとか呼ばれていたようで、昔の鳥愛好家もこの旅鳥をしっかり観察していたことがわかります。
「ピョ、ピョ、ピョ」と甲高い声でなきながら沼の上空を飛んでくれました。
旅鳥のオグロシギもやってきた
オグロシギ(英名;Black-tailed Godwit、体長 38p)が2羽、沼の中ほどで採餌していました。長いくちばしを使って水中の貝やエビなどを捕食します。
オグロシギの一羽が近くにいたセイタカシギと同時に飛び立ちました。
旅立ち前のコチドリ一家
コチドリ(英名;Little Ringed Plover、体長 16p)は春先に日本などにやってきて繁殖します。この日は南の国に帰る前のコチドリ一家が水浴びをしてくつろいでいるのに出会いました。
きれいな水が流れている場所を見つけて一羽のコチドリが水浴びを始めました。
ついに一家勢ぞろいで水浴びです。もしかしたらこの日の晩にも南の国目指して旅立ったかもしれませんね。
沼に集合したアマサギの群れ
10月のある日、10数羽のアマサギ(英名;Cattle Egret、体長 50p)の群れが沼に集まって羽を休めていました。アマサギは東南アジア系のサギですが日本に渡ってきて繁殖する数も増えているようです。繁殖期には頭から胸にかけて橙黄色の羽に包まれますが、この時期の羽はほとんど白色に変わっています。
英名の意味はウシサギですが、江戸時代には日本でもウシサギと呼ばれていました。牛や馬のそばにやってきて彼らについているハエや昆虫類を食べるためです。
留鳥のコサギより一回り小さく、嘴が黄色なので繁殖羽でなくともすぐに見分けがつきます。
この日ここに群れで集まってきたのはいよいよボルネオなど南の国に旅立つためなのでしょうか。
これからの長旅が無事でありますように。
渡りの前に体力を蓄えるツツドリ
夏鳥のツツドリ(英名;Oriental Cuckoo、体長 33p)は東南アジア方面から日本や沿海州の山地にやってきて繁殖します。カッコウの仲間でウグイスやノビタキなどずっと小さな野鳥に托卵します。ツツドリは蛾の幼虫が好物です。秋の渡りの途中、近所の河原のクルミや川の堤防の桜の木についた大きな毛虫をおいしそうに食べます。
ツツドリは体長はカッコウより数センチ小さいだけで、体の形や色はカッコウにとても良く似ています。カッコウに比べて全体に羽の色が暗く、胸の部分の黒の横斑が太いのがツツドリです。
こちらは赤色型のツツドリです。遺伝子の変異でメスのツツドリだけにこの赤色型が現れるのだそうです。
渡り途中のノゴマに逢いたい
ノゴマ(英名;Siberian Rubythroat、体長 16p)はツグミ科の野鳥で、北海道、南千島、樺太、沿海州などで繁殖し、秋には日本列島を南下して東南アジアに渡っていきます。繁殖期にはオスが背丈の高い草の上や見晴らしの良い岩の上などでよく鳴くそうなので撮影は難しくないようです。しかし繁殖期以外は薮や茂みの中で昆虫やミミズなどを食べていて姿を見るのは容易ではないです。埼玉の川筋には渡り途中のノゴマが採餌しながら通過する道筋となっているところがあります。しかし、ほとんど藪から藪を伝って移動するためよほどの幸運に恵まれないと写真撮影は難しいです。
ノゴマのオスは全体はくすんだオリーブ色ですが、とても良く目立つのど元の赤色がトレードマークです。この写真は熱心な愛好家たちがノゴマの好きな環境を整えた舞台のある場所にお邪魔して撮影させていただいたものです。
こちらはノゴマのメスです。渡り途中のノゴマを見られるという場所に数日通って、たった一度だけ藪の中から一瞬飛びあがってきてくれました。南国に渡っていくノゴマは同じ場所には2日ほどしか滞在しないため、その日を予想して通った成果でした。
一瞬カメラを覗く当方と目線が合いました。これからの長い旅を無事に終えてもらいたいと念じました。
旅の途中で道草しているノビタキ兄弟
本州中部以北の高原や草地で繁殖するノビタキ(英名;Stonechat、体長 13p)は秋口になるころには徐々に移動を開始して東南アジア方面に渡っていきます。ここでは近くの河原や草地で見かけたノビタキの若い兄弟をご紹介します。
10月初め、近くの河原でノビタキたちに出会いました。穂が出始めたススキに止まって虫を探していました。
こちらでは河原のクルミの葉についている虫を見つけてキャッチするところです。
10月半ば過ぎに広い草地のある公園で採餌しているノビタキを見つけました。今年は暖かいためか南方への移動が遅れているようです。ノビタキの若鳥には渡りをせずに河原などで冬を越すものもあるようです。温暖化の影響でしょうか。
散歩道の脇の草むらの中にクモの巣を見つけて交代しながら巣の糸を引きはがし始めたところです。中に住んでいるクモの運命は?
この日のベストショットです。セイタカアワダチソウの花に止まって辺りを見回していました。
ノビタキの止まっているそばをヒョウモンチョウが通りかかりました。「食べちゃうぞ!」
この日を最後にノビタキ3兄弟はここの草地では見かけなくなりました。
ミサゴの収穫祭
秋になると利根川にはサケが毎日数百匹ずつ遡上してきます。利根川中流域の水田の灌漑を目的に作られた利根大堰の手前では、遡上してきたサケが上流域への魚道を探してしばらくそこに留まってしまいます。中にはここで産卵するものもいるようです。このサケをねらってミサゴ(英名;Osprey、体長 56〜60p)がやってきます。ここではそのミサゴの狩りの様子をご紹介します。上の写真はボラを捕まえて飛ぶミサゴです。
堰の手前の水際で産卵行動?をしているサケ。
利根大堰の上空にやってきた二羽のミサゴ。胸部の褐色斑が太く濃いので二羽ともメスのミサゴのようです。
獲物を見つけるとホバリングで空中に静止しながら両足を下げて急降下する間合いを測ります。
ここぞと決めた瞬間、羽をたたみ両足を突き出して水面めがけて突っ込みます。
釣果は如何に?
水中に飛び込んだ後数秒間経ってからようやくミサゴの羽と頭が水面に出てきました。
激しく羽ばたきながら飛び出すミサゴの足先にはしっかりと魚が捕らえられていました。
捕らえた魚はどうやらボラのようです。ボラは何とか逃れようと必死にもがいているようです。
ミサゴがボラを捕まえるとそれに気づいたハシボソガラスが数羽ボラを横取りしようとすぐに追いかけ始めました。
獲物を撮られまいと逃げるミサゴをカラスたちは集団で追いかけます。
どうやらミサゴがカラスを振り切ってご馳走にありつけそうですね。
可愛いエナガ
エナガ(英名;Long-tailed Tit、体長 14p)は集団でやってきて、ジュリ、ジュリジュリィと鳴きながら樹木の葉などに付く虫を探しているのを目にします。とても忙しく動き回ってなかなかそのかわいらしい姿を写真に撮りにくい野鳥です。しかし好物の虫がたくさんついている樹木では比較的長い時間そこに留まって採餌しているので、かなり撮影のチャンスがあります。
ベテランカメラマンの方から、エナガは群れの中で動きの一番トロクサイ個体に目をつけると良いと教えてもらったりしましたが、それでも動きが早くピントぴったりの写真はめったに撮れません。
エナガはシジュウカラやコゲラなどと一緒に動き回っていることもあって、いろいろな小鳥たちの鳴き声が混じりあいますます狙いが絞れなくて困ることもあります。
ごくまれにエサに気を取られてほんの少しの間エナガの動きが止まることがあります。この瞬間にシャッターを切ることができると成功の確率が上がります。
一番の条件は目線の高さで近くまでエナガがやってきてくれることです。エナガの表情をしっかりととらえることができました。
羽繕いを始めてゆっくりしてくれることもありました。
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