トモエガモがやってきた
近くの公園の池にトモエガモ(英名;Baikal Teal、体長 40p)のオスが一羽やってきてこの冬をここで過ごしました。トモエガモは極東だけに住んでいてシベリア方面で繁殖し冬に日本海沿岸や中国南東部で越冬します。埼玉で見られるのは珍しいことです。
奈良時代にはたくさんの群れでやってきて食べるとおいしかったのか「あぢ」と呼ばれていました。江戸時代になるとあぢがも、ともえがもと呼ばれるようになり近年は顔の模様を巴形にに見立てたトモエガモに統一されました。
この冬やってきたトモエガモは群れでやってきているヒドリガモに混じって暮らしていました。ちなみにメスのトモエガモはコガモのメスとよく似た焦げ茶色の地味な羽色をしています。
池の中には食べ物の植物が少ないためしばしば岸に上がって池の傍の草地で採餌していました。
ウインドウズ10では写真画像をこれまでより大きく拡大してご覧いただけます。拡大画像で野鳥の精緻な羽の模様や色合いをお楽しみください。
採餌中何かに驚くと慌てて池の方に飛んでいきます。
群れで生活するヒドリガモ
ヒドリガモ(英名;European Wigeon 体長 49p)は冬期にあちこちの池や沼に群れでやってきます。写真は早朝ねぐらの葦の茂みから出てきたヒドリガモの大家族です。
芝の上を家族で採餌するヒドリガモ。オスは頭頂部がクリーム色、顔の部分は名前の由来である赤味の強い茶色をしています。野鳥図鑑のメスは地味な焦げ茶色です。
ポーズをとってくれたオスのヒドリガモ。
採餌が終わるとヒドリガモの群れは休息をとる場所に移動していきます。
コガモが国際化?
コガモ(英名;Green-Winged Teal 体長 38p)が自慢の緑の羽を見せながら波立つ沼の上を飛んでいます。
見慣れたコガモの中にちょっと違っているコガモが混じっていました。中央にいる胸のあたりに縦の白線が見えているのがとても珍しいアメリカコガモのオスです。
別な日、オスのコガモばかり集まった中にアメリカコガモが入っていました。縦の白線が水面にも映っています。
中央の右がアメリカコガモ、左が普通のコガモです。二羽のオスの後ろ側、3羽目はメスのコガモです。
大きく羽を羽ばたかせると胸の縦の白線がくっきりと見えました。
いかめしい顔つきのハシビロガモ
ハシビロガモ(英名;Common Shoveler 体長 50p)はカムチャッカやシベリアなどで繁殖し日本や東南アジアには冬鳥として渡ってきます。
大きな嘴はまるでスコップのような形をしています。水面をぐるぐると泳ぎまわりながら水底の泥を探って昆虫や小魚、藻などを濾しとって食べます。嘴の内側には餌を濾し摂るための歯ブラシ状の構造が備わっています。
こちらはメスのハシビロガモです。体形はオスと同じですが嘴や羽色は他のカモ類と同様にとても地味な色合いです。
オスが頭掻きをしているところですが、丸く大きな嘴の先の様子や歯ブラシ構造の一部がのぞき見できます。
いかつい顔とはアンバランスな朱色の足がちょっとユーモラスな印象です。
貴公子然としたオナガガモ
オナガガモ(英名;Pintail、体長 ♂75p」、♀53p)はオスだけがとても長い尾羽をもっています。
中央の尾羽がピンと立っているのがオス、その後ろがメスです。オスのような長い尾羽はありません。
オスの羽色は黒と白のコントラストがとても綺麗ですが、メスは薄い焦げ茶色の地味な羽色でちょっと不公平?
画像を拡大するとオスの黒い頭部は深緑色がかっていてとても綺麗に見えます。
冬にやってくるホシハジロ
ユーラシア大陸の中部で繁殖するホシハジロ(英名;European Pochard 体長 45p)は冬鳥として日本にも渡来し。公園の池や沼で過ごします。
オスのホシハジロは赤茶色の頭部に赤色の虹彩を持つ鋭い目が特徴です。背中の白の羽に細い黒の横斑が名前の由来です。
こちらはメスです。薄い焦げ茶色の羽に黒色に見える目の周りに白色のアイリングを持っています。目の色がオスとまったく違っていて同じ種類の鳥とは思えないほどです。
ホシハジロの飛翔、尾羽を開いてこれから着水するところです。
白い額板が自慢のオオバン
オオバン(英名;Eurasian Coot 体長 39p)は冬になるとさいたまの湖沼などにやってきて冬を過ごしていきます。まっ黒な羽色に白の嘴と額板がとても目立ちます。近づいてみると真っ赤な虹彩です。
オオバンは雌雄同色でまったく区別がつきません。オオバンは赤い額板を持つバン(英名;Common Moorhen 体長 32p)と同じクイナ科の鳥ですがバンにはない弁足という特異な水かきを持っています。
何かの気配に驚いて水面から飛びあがったオオバンの群れ。
とても用心深いクイナ
クイナ(英名;Water Rail 体長 29p)はさいたまには冬にやってきて草薮の茂った河川や沼地で暮らしています。クイナはとても用心深く人の気配があると草や藪陰に素早く隠れてしまいなかなか写真を撮るのが難しい鳥です。
人の気配がしないと水辺に出てきて昆虫や甲殻類、そして草の実なども食べます。真っ赤な嘴と短い尾羽がトレードマークです。
小さな椅子に座って静かにしていると案外すぐそばに来てポーズをとってくれます。
今年もやってきたベニマシコ
人気者の冬鳥ベニマシコ(英名;Long-tailed Rosefinch 体長 15p)が今年も元気に姿を見せてくれました。よく通る高い声でフィッ、フィッと高い枝の上で鳴きながら辺りの様子を窺います。
セイタカアワダチソウ、ナギナタコウジュ、アリタソウなど草の実が大好物です。声がしなくても好物の草の実が実っている場所で黙々と食べている姿を見ることができます。
こちらはオスのベニマシコ、お腹がいっぱいになって水辺に水を飲みに降りてきたところです。
雪の降った翌日はチャンスです。白い雪の中にいる野鳥を比較的簡単に見つけることができるからです。
こちらはメスです。食べるのに夢中になってバランスを崩したところをパチリ。地味だけどなかなかの器量よしです。
幸せを呼ぶ青い鳥、ルリビタキ
ルリビタキの住む山に行くと今年もピッィ、ピッィ、ピッィと高い鳴き声が聞こえてきました。今年もここで冬を過ごしているようです。しばらく声の聞こえた藪陰で待っているとクックッ、クックッと低い地鳴きが近づいてきました。そしてルリビタキのオスが現れました。
小高い枝に止まって辺りの様子を伺ってから地表に降りて昆虫やクモなどを探します。
低い藪の中から飛び出してきて間近の小枝に止まってくれました。惜しいことにちょっと杉の枯れ葉が邪魔してますがとても綺麗に撮れました。
少し離れた小木の枝先を飛び回るルリビタキを見つけました。(うっそうとした森の中は光量が足りず羽がブレてしまいます。)
山椒の木の実を食べていました。
逆光の枝に止まるルリビタキ。
黄色く太い嘴のイカル
2月になると山の食べ物が無くなるためイカル(英名;Japanese Grosbeak 体長 23p)が平地の林にやってきます。高い木の枝先を飛び回って大きな嘴で果肉の水分がなくなって固くなった小さな木の実を割って食べていました。
細い枝をがっしりと掴んで身体を支えながら首を伸ばして枝先についている小さな実を食べます。
木の実を咥えると黄色の大きな嘴に力を籠めて割って食べます。拡大してみるとかなりの迫力です。
短い首を懸命に伸ばしています。
木の枝に止まっている姿は羽の色合いも美しくなかなかお洒落な感じです。イカルは雌雄同色です。
群れで地上に降りて草の実などを食べることもあります。
お腹がいっぱいになると皆で川縁に水を飲みに来ます。
枯れた葦原にいるオオジュリン
ホウジロ科のオオジュリン(英名;Common Reed Bunting 体長 16p) が近所の河原の葦原にやってきて枯れた葦の葉鞘を剥がして、茎の中に隠れているカイガラムシ類を採食していました。ここでは初めてオオジュリンを見かけましたが、害虫のカイガラムシがたくさん繁殖している可能性もあります。害虫はできるだけたくさん食べてほしいものです。
この時期のオオジュリンは冬羽のためオス、メスとも大人のメスの夏羽とよく似ていて区別が難しいです。比較的頭部の茶色が濃いのがオスのように思えます。ちなみに夏羽のオスは頭部が黒色に変わります。
後ろにいるのはスズメです。シジュウカラやホウジロもこの葦原にやってきてパリパリと葉鞘を剥がして採食していました。
剥がした葉鞘下に隠れてい白っぽいカイガラムシを食べようと舌を出しているオオジュリン。
オオジュリンはチー、ジュイジュイ、チ-などと鳴くことからジュリンと呼ばれます。オオジュリンより少しだけ小さいコジュリンも羽色がよく似ていてすぐに見分けるのは難しいです。
小さくてすばしこいキクイタダキ
日本で見ることのできる最も小さな野鳥の一つ、キクイタダキ(英名;Goldcrest 体長 9〜10p)は寒くなると公園のヒノキやつる性植物の葉に付いている昆虫やクモを食べにやってきます。小さい上に動きがとても素早いのでカメラマン泣かせの鳥です。よく見かけるメジロは体長12pもありキクイタダキと比べるとかなり大きく見えます。
頭頂部に黄色い線上の冠羽があります。これが名前の由来ですが、興奮するなどしたときに黄色部分が菊の花が咲いたように逆立つのだそうです。
昆虫の居場所を見極めるために時々茂った葉の前でホバリングをします。写真に撮って動きを止めてみるとなかなかかわいらしい表情をしています。
少しピントは甘いのですが、ホバリング中の羽が止まってはっきりと写し撮れました。
梅の花蜜が大好きなメジロ
2月上旬ですが日当たりの良い梅の花が開花したのを目ざとく見つけたメジロ(英名; Japnese White−eye 体長12p)が蜜を食べていました。
メジロは蜜や果樹ばかりではなく枯れ草や葉の裏に潜む昆虫やクモなども採食します。
茂った葉の中を忙しく動き回ってエサ探しです。
梅の花に包まれて蜜を食べているのが一番幸せそうです。
ひっそりと採食するセッカ
数日前に積もった雪の残るビオトープの一角に腰を下ろして野鳥を待っていると目の前の草薮をかすかに揺らしながら何かが動いています。じっと目を凝らしていると現れたのは何とセッカ(英名;Zitting Cisiticora 体長 13p)です。
頭から背中は焦げ茶と薄茶の縦縞模様、お腹は薄い茶色のふわふわの羽、ピンクの長い足のとてもかわいい小鳥です。春から初夏の繁殖の時期はオスがテリトリーの上空をチャッチャッ、チャッチャッ、とか、ヒィッ、ヒィッ、ヒィッ と鳴きながら飛び回るのですぐに気が付きますが、冬はひっそりと動いています。
別な日、葦を狩り取った枯れ葉の中から飛び出してきたのもセッカです。大急ぎでカメラを摂り出し手持ちで撮影しました。
こんなに間近でセッカを撮影できたのは初めてです。
雪と氷に戸惑うセキレイ
雪が積もって寒いある日のビオトープ、セグロセキレイ(英名;Japanese Wagtail 体長 21p)が冷たい雪の上に立ち尽くしています。あちこち雪に覆われてエサ取りに困っているのでしょうか。
氷の張っていない川面の中に何かを見つけて突進していきます。雪や氷はエサ探しの妨げにはならないようです。
こちらはハクセキレイ(英名;White Wagtail 体長 21p)、雪の上をどことなくぎこちなさそうに歩いています。ハクセキレイをセグロセキレイと見分けるには目の下の頬の部分を見ます。頬の白いのがハクセキレイです。
家族で暮らすカワラヒワ
カワラヒワ(英名;Oriental Greenfinch 体長 15p)は冬場には十羽前後の家族で暮らしています。ヒリヒリヒリ、ヒリヒリヒリと小さな声で鳴きながら飛んできます。とても警戒心が強く人影に気付くとすぐに逃げていきます。
カワラヒワは河川敷の小木や草薮で植物の実や昆虫などを食べます。河原にやってきて採餌しているところです。
カワラヒワは止まっていると全体に褐色の目立たない羽色ですが羽を広げるととても綺麗な黄色が目に入ります。「きすずめ」とよばれていたこともあります。
右側の濃い褐色の個体がオスです。左のメスは薄い褐色をしていて目立ちません。
とても寒い朝、水を飲みに水辺に降りてきたのですが薄氷が張っていて戸惑っているようです。
好物の野ネズミを二匹平らげたノスリ
ノスリ(英名;Common Buzzard 体長 55p)が近くの河原の草むらで野ネズミを獲る様子を観察できました。見通しのきく川の水位を測る鉄塔の上から草むらの中をじっと見つめてほんのかすかなネズミの動きを探ります。
ネズミを見つけると両足を突き出しながら一気に草むらに降下していきます。
うまく野ネズミを捕らえて鉄塔に戻ってきました。両足で大切そうにネズミを抱え込んでいます。
ネズミを食べ終わると次の獲物を探して対岸に移動しました。
対岸では見つけられず、最初のネズミを捕まえた場所に戻って二匹目を狙います。
獲物を見つけて出撃です。
元の場所に獲物を持ってご帰還です。この後あっという間に二匹目も平らげてしまいました。
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