夏の終わり、三番瀬の水鳥たちとの出会い
八月下旬、潮が引き始めた三番瀬を訪ねました。波打ち際でくつろいでいるウミネコ(英名;Black-tailed Gull、体長 46p)の群れの前をムナグロ(英名;Pacific Golden Plover、体長 24p)が一羽獲物を探しながら闊歩しています。
大物のエサをゲットしたムナグロ。ゴカイの仲間でしょうか、これだけの長さのゴカイを一瞬で引き出す、名人芸ですね。
浜辺に打ち上げられた海草などの下に隠れている虫や甲殻類を探しているキョウジョシギ(英名;Ruddy Turnstone、体長 22p)を見つけました。
江戸時代から「京女鴫」と呼ばれ、羽色が京女のように美しいシギとして知られていたそうです。
キョウジョシギのすぐそばで採餌している小さな鳥を見つけました。トウネン(英名;Res-necked Stint、体長 15p)です。
一緒にエサを食べるトウネンとキョウジョシギ。かつてトウネンは今年生まれたばかりの小さなシギという意味でトウネコシギ(当年子鴫)と呼ばれていました。
群れで採餌するトウネン。
近づいてきたオオソリハシシギ(英名;Bar-tailed Godwit、体長 39p)を見つめるトウネン。
こちらはウミネコ(英名;Black-tailed Gull、体長 47p)の幼鳥です。
仲良く採餌するオオソリハシシギ(英名;Bar-tailed Godwit、体長 39p)
広い砂浜でエサを探す。
ダイゼン(英名;Grey Plover、体長 29p)もあちこち歩き回ってエサ探しです。
顔、喉、胸、お腹の黒い夏羽のダイゼンはこれから冬羽になると白色に変わります。
かつて宮中料理に使われていたことからダイゼンシギと呼ばれたこともありました。
好物のアサリを食べるオバシギ(英名;Great Knot、体長 28.5p)。尾羽鴫と表記され特徴のある白い尾筒が名前の由来かも。
右側の二羽はオバシギの幼鳥。見つけたアサリがちょっと大きすぎて飲み込むのに苦労しています。
メダイチドリ(英名;Lesser Sand Plover、体長 20cm)が二羽で採餌しています。
砂浜を颯爽と歩くキアシシギ(英名;Grey-tailed Tattler、体長 25p)
水面に映る自分の姿に見とれる?キアシシギ。左足に青い標識タグが付いています。
東京湾で越冬するミヤコドリ(英名;Oystercatcher、体長 45p)の群れ。
なかなか写真に写し撮るのむつかしい暗褐色のミヤコドリの虹彩。実は年を取るにつれて赤色が増してくるのだそうです。
珍鳥を探して関東平野を東奔西走
10月のある日の銚子市犬吠埼君ヶ浜の様子です。この近くにあるしおさい公園でイスカの群れが見られると聞き早速探しに行ってきました。
イスカ(英名;Red Crossbill、体長 16-17p)狙いで集まってきたカメラマンの後について浜辺の松林に入って待っていると数羽のイスカの群れが松の実を食べにやってきました。橙赤色がオス、黄緑褐色のがメスです。どちらもいかめしい顔つきですね。
こちらはイスカのメスです。イスカの嘴は固い松ぼっくりをこじ開けて実を食べるために交差しています。イスカの嘴の掛け違いといわれる所以です。
こちらはイスカのオス、辺りの様子を警戒しています。
交差した嘴で実の詰まった松ぼっくりをこじ開けようと狙っているイスカ♂です。
青空の中にイスカ♀が綺麗に映り込みました。
9月下旬、高島平の荒川緑地公園で珍しい鳥が見られると聞き探しに行ってきました。
数名のカメラマンさんたちに混じってしばらく待っていると、遠くにちらりとそれらしき鳥影、何とかシャッターを切りましたがこの日はこの一枚だけ。アフリカ東南部原産のハジロホウオウ(英名;White-winged Widowbird、体長およそ17-18p位)という鳥でした。篭脱けして野生化したもののようで昨年に続き現れたそうです。
翌日再チャレンジしましたがチャンスはこの一回だけ、ちょうど飛び出しを撮影できました。
ハジロホウオウはスズメ目ハタオリドリ科キンランチョウ属です。
こちらは6年ほど前に筆者が家の近くの小畔川で見かけたキンランチョウ(英名;Orange Bishop、体長 12-13p)です。この時はカメラを持って堤防上を歩いていると草むらに黒と黄色の何かが動いているのに気づいてシャッターを切ったものです。やはり篭脱けしたものと考えますが、その時のことを思い出し合わせてご紹介します。
10月中旬、新横浜緑地公園脇の広い水路に迷鳥としてまれに見られるメジロガモ(英名;Ferruginous Duck、体長 40p)が入ったと情報をいただき探しに行きました。上の写真で羽を広げているのが目指すメジロガモ(♀)です。
メジロガモ(中央)はヒドリガモ、ホシハジロ、オオバンなどの群れに混じって採餌したりしています。
浮き草を食べるメジロガモ。ここにやってきたのは♀一羽だけです。図鑑で見るオスは顔、首、胸の羽色が赤褐色で明確に区別できます。
ホシハジロ♂(右)と一緒に食事です。
大きく伸びをしてくつろぐメジロガモ。
11月初旬、千葉県野田市の利根川沿いの田んぼでミヤマガラス(英名;Rook、体長47p)を撮影しました。ミヤマガラスはハシボソガラスよりもやや小さく上嘴の付け根が白っぽく冬鳥として満州方面から渡ってきます。
群れ飛ぶミヤマガラス。
ミヤマガラスのいた田んぼのはずれの草地にたくさんのムクドリが電線に止まったり畑に降りたりして騒いでいました。近づいてよく観察すると何羽かお腹一面に小さな白い星班のあるホシムクドリ(英名;Common Starling、体長 22p)が混じっています。(写真の右下方と左上方)
ホシムクドリは英名でも判るようにヨーロッパでは一般的な野鳥のようですが国内では数少ない冬鳥です。
利根川沿いの田んぼから足を伸ばして立ち寄った菅生沼の木道でお見合いしたイタチ君です。
秋になると渡り鳥たちがやってくる庄内の池
九月中旬、池を訪ねると早くもオナガガモの群れが到着しています。コガモやヒドリガモも来ているようです。
この池で夏を過ごしたカンムリカイツブリ(英名;Great Crested Grebe、体長 56p)はこれから次々とやってくる冬鳥に主役の座を譲ります。
10月中旬の早朝、池にはコハクチョウをはじめ無数のカモたちで水面が覆われていました。
家族とじゃれ合いながら田んぼを目指すコハクチョウ。
ほとんどの仲間が飛び立ってしまい残された群れもお互いの顔を見合わせながら出発に備えています。
池の奥の方を飛び立った小群を撮影しました。これは20羽近くのオシドリ(英名;Mandarin Duck、体長 45p)の群れです。ここでオシドリを撮影したのは初めてのことです。
コハクチョウの後を追うかのように大きな羽音を立ててマガン(英名;Greater White-fronted Goose、体長 72p)の群れが飛び立ちました。マガンの飛び立った後の水面には無数のコガモやマガモ、オナガガモ、ヒドリガモたちが何かを敷き詰めたかのように点々と写っています。早朝なので彼らはまだお休み中です。
この群れは40羽ほどでした。マガンを撮影したのも初めてでこの朝は収穫の多い思い出深いものになりました。
昼過ぎ池の上を飛ぶマガモ(英名;Mallard、体長 59p)の群れ。
夕暮れ時になって餌場から池に戻ってきたコハクチョウの家族。
秋色の戸隠で出会う野鳥たち
ここでは10月下旬に訪れた戸隠高原で出会った野鳥たちをご紹介します。赤色黄色の紅葉の中、白樺の幹にやってきたのはコゲラ(英名;Japanese Pigmy Woodpecker、体長 15p)です。木の洞に隠れている虫を探していました。
この時期バードウォッチャーの人気はシベリア方面で夏を過ごし南の国に渡ってく途中立ち寄るムギマキ(英名;Mugimaki Flyctcher、体長 13p)です。小さな身体のムギマキは実をたくさん付けたミズキの木にやってきて実を一つくわえるとすぐに近くの藪の中に飛び去ります。
実をくわえて飛び去るオス。後方に実を取りにやってきたのはメス。
ミズキの実はこれから南方に渡るマミチャジナイにも好物のようです。盛んに食べています。
夏鳥のアカハラもミズキの実を食べに来ます。
木道に出てきたミソサザイ(英名;Winter Wren、体長 10-11p)、留鳥です。
カムチャッカ方面から冬を過ごしにやってきたカシラダカ(英名;Rustic Bunting、体長 15p)。
アオfゲラ(英名;Japanse Green Woodpecker、体長 29p)も元気です。
好物のイチイの実を食べに来たヤマガラ(英名;Varied Tit、体長 14p)
遊歩道でムギマキの写真を撮っていたカメラマンの足元に顔を指したタヌキ、あまりに近すぎて顔だけ撮影しました。
渡良瀬遊水地で冬を過ごすチュウヒ
シベリアやカムチャッカ方面で夏を過ごしたチュウヒ(英名;Eastern Marsh Harrier、体長 ♂48p ♀58p)11月半ばに渡良瀬遊水地で撮影しました。
チュウヒは早朝に狩場に出かけ夕方日が沈む頃にねぐらの葦原に帰ってきます。こちらは夕方4時過ぎに葦原に帰ってきました。
ねぐらの上空を旋回してねぐら付近の安全を確かめると一目散に葦原の定宿に飛び込んで行きます。
夕日が沈む渡良瀬遊水地の葦原。
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